1. 就職氷河期世代の労働者 への支援技法 平成30年度 労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサル ティング技法の開発に関する調査・研究事業報告書 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaik aihatsu/career_consulting_gihou_00004.html )をスライドにまとめたもの です。下記の動画もご参照ください。 動画:https://www.youtube.com/watch?v=kR4I1N_Vm40

2. 第1章 「就職氷河期世代」へキャリアコンサル ティングが求められる理由 就職氷河期 1993 年頃から 10 年強程度 この期間に学卒・初職への就職活動が重な った人々=就職氷河期世代 第1節 「就職氷河期世代」の労働者を取り巻く 現状 • 高卒者の場合 1975 年頃から 1985 年頃に生まれた人々 • 大卒者の場合 1970 年頃から 1980 年頃に生まれた人々

3. 大学(学部)卒業者の進路状況 第1章 「就職氷河期世代」へキャリアコンサル ティングが求められる理由 「就職者割合」 • 2018 年3月卒業者 77.1% • 1993 年~2003 年卒業者 50~60%台 「一時的な仕事に就いた者、進学も就職もしていない者の割合」 • 2018 年 3 月卒業者は 8.6% • 1993 年 ~2003 年卒業者は 10~20%台 • 2003 年には 27.1% 3倍超

4. 第1章 「就職氷河期世代」へキャリアコンサル ティングが求められる理由 図表 2 – 1:「大学(学部)卒業者の進路状況」

5. 第1章 「就職氷河期世代」へキャリアコンサル ティングが求められる理由 2019 年現在、就職氷河期世代の人々は 30 代後半から 40 代後半に差し 掛かっている。 • 壮年男性(35~44 歳)が1割程度 • 壮年女性(35~44 歳) が5割程度 で推移 役員を除く 雇用者に対する非正規雇用労働者の割合 非正規雇用労働者の壮年男性、無配偶者女性の4割程度 現職の雇用形態につい ている主な理由⇒「正規の職員・従業員の仕事がない から」 不本意ながら非正 規雇用労働者として就業している

6. 第1章 「就職氷河期世代」へキャリアコンサル ティングが求められる理由 • 正規雇用労働者と比して、能力開発機会の 機会に乏し い • 職務が高度化しにくい 十分な職業経験を積めないまま、各種就労支援機関の対象年齢を超えてし まい、支援の輪からこぼれ落ち始める人も現れている。 企業側も年齢を理由として採用に二の足を踏むことが考えられ、ますます 安定的な就労が困難となることが予想される。 労働条件や賃金に格差が発生

7. 第1章 「就職氷河期世代」へキャリアコンサル ティングが求められる理由 第2節 中小企業を中心とした人手不足の実情 図表 2 – 2:「人手不足等への対応に関する調査6」 人手が「不足している」と回答した 企業が 65.0%。 調査開始時(2015 年)から4年連 続でその 割合が上昇している。

8. 第1章 「就職氷河期世代」へキャリアコンサル ティングが求められる理由 新規学卒者(大卒/2019 年3月卒業予定)の採用状況 大卒求人倍率は 1.88 倍(前年比 0.10 ポイント 増) 全体的に人手不足の状況 従業員規模が小さくなるほど新規学卒者の採用が困難となる傾 向 就職氷河期世代の労働者を正社員と して採用しようとする動き 非正規雇用労働者を正社員として採用しようとする動き 学生側の大企業志向が根強い 中小企業

9. 第1章 「就職氷河期世代」へキャリアコンサル ティングが求められる理由 図表 2 – 3:「新規学卒者(大卒)の求人倍率推移8」 従業員数 5000 人以上の企業 求人倍率 0.37 倍 従業員数 300~999 人の企業 求人倍率 1.43 倍 従業員数 300 人未満の企業 求人倍率9.91 倍 従業員規模が小さくなるほど新規学卒者の採用が困難となる傾向

10. 第1章 「就職氷河期世代」へキャリアコンサル ティングが求められる理由 第3節 求められるキャリアコンサルタントの支援 1. 労働者が自身の経験や能力の棚卸を行い(自己理解) 2. 正社員就労に 向けて求められる能力・スキルの整理を行い(仕事理解) 3. 正社員として就労した場合どのような役割 を求められるのか理解(組織 理解) 正社員就労に向けた計画を立て、方策を 実行 キャリアコンサルタントの役割 労働者への支援のみならず、非正規雇用労働者を採用・戦力化するた めに企業がどのような取組を行えばよいのか、組織への働きかけを行う ことが必要である。

11. 第2章 就職氷河期世代に対するキャリアコンサ ルタントのあり方 第1節 本技法で想定する相談者の分類 相談者の積み上げてきた職業経験や技能、正社員就労に向けた意識、 本人の置かれた雇用環境は多種多様。 キャリアコンサルティングの初期段階で、相談者の状況に応じて丁 寧な見立てを行うことが重要なポイントとなる。 就職氷河期世代の労働者に対する就労支援を行っている実務家へのヒ アリングを通じ、適切な支援にむけて相談者を見立てるために四つの分 類に纏めたものが次頁の分類図。 分類の軸は二つ 1. 「継続就業しているか、 離転職を繰り返しているか」 2. 「正社員として働くことに対して意欲的かどうか」

12. 第2章 就職氷河期世代に対するキャリアコンサ ルタントのあり方 図表 2 – 4:本技法で想定する相談者の分類

13. 第2章 就職氷河期世代に対するキャリアコンサ ルタントのあり方 対象 属性 見立て 支援のポイント A-1 ・長期間にわたる一定の就労経験がある。 ・正社員就労の具体的なイメージを持てて いる。 ・正社員就労に向けた具体的な支援を行う。 A-2 ・長期間にわたる一定の就労経験がある。 ・正社員就労の具体的イメージを持てていな い。 ・相談者が正社員のメリット、デメリット を踏まえ自己決定出来るように支援を行 う。 B ・短期間で離転職を繰り返すなど、継続就業 していない。 ・正社員就労への意欲がある。 ・スキルや経験の棚卸を行いつつ、自己理 解 ・仕事理解促進や自己評価を高める支援を 行う。 C ・短期間で離転職を繰り返すなど、継続就業 していない。 ・働くことへのイメージが漠然としている。 ・社会経験を積むために、自己理解・仕事 理解・ 啓発的経験に向けた支援をスモール ステップで 行う。 図表 2 – 5:対象属性の見立てと支援のポイント

14. 第2章 就職氷河期世代に対するキャリアコンサ ルタントのあり方 第2節 キャリアコンサルタントに求められる役割 第1項 相談者の意思決定支援 相談者と向 き合い、キャリア形成上の課題や悩みを確認し、達成可能な 目標設定と意思決定の支援を行っていく ことが重要である。 特に、就職氷河期世代の労働者の中には、自身の社会的経験の少なさに 悩んでいて、自分自身の経験を語ることに消極的な人もいる。相談者が安 心して、自分自身の言葉で語ることが出来るように、 留意すること。

15. 第2章 就職氷河期世代に対するキャリアコンサ ルタントのあり方 第2項 相談者への関わり方 就職氷河期世代の非正規雇用労働者には、職業経験や能力開発機会に恵ま れず、正社員として働くための技能やノウハウが不足しているケースがみら れる。 思い込みは禁物 その人には必ず その人ならではの良いところがあるという意識 キャリアコンサルタント自身が自らの課題を理解し、その課題をクリアす るため の自己研鑽を行っていく必要がある。 キャリアコンサルタントが勝手な思い込みでキャリアコンサルティン グを進め、相談者が置き去りになることがないよう、相談者が主体のサ ポートが出来ているかどうかで確認するように努めること。

16. 第2章 就職氷河期世代に対するキャリアコンサ ルタントのあり方 質問 Yes No 1 働ければ自立出来る、働きさえすればまともな生活 が出来るはずだ 2 安定した雇用形態になることが第一だ 3 仕事は選ばなければ、いくらでもある 4 つい「この人はこの年齢になるまでに何をやってき たのだろう」と思って しまうことがある 5 同世代できちんと働いている人もいるのだから、時 代環境のせいにするべ きではない 図表 2 – 6:キャリアコンサルタントマインドチェック シート Yes にチェックが付いた方 ・第3章の「氷河期ならではの 注意点」を中心によく読むこと。 ・就職氷河期世代や非正規雇用 についての情報を集め、正しい 理解に努める。 ・相談者の状況や ニーズに応 じ、その領域に明るいキャリア コンサルタントへ橋渡しをする ネットワークも必要。

17. 第2章 就職氷河期世代に対するキャリアコンサ ルタントのあり方 質問 Yes No 1 相談者につい色々とアドバイスしてあげたくなる 2 え、こんな事も分からないのと心の中で思ってしまう 3 相談者の趣味が、自分とは合わない場合に少しひいてしま う 4 つい「この人はこの年齢になるまでに何をやってきたのだ ろう」と思って しまうことがある 5 自分のキャリアコンサルティングのスタイルは決まってい るので、誰に対 しても同じように接する 6 「どうしたらいいですか?」とキャリアコンサルタントに 決めてもらいた がる相談者がいると、頼りにされてうれ しいと思う 図表 2 – 7:相談者への関わり方チェックシート Yes にチェックが付いた方 ・第3章の「氷河期ならではの 注意点」を中心によく読むこと。 ・就職氷河期世代や非正規雇用 についての情報を集め、正しい 理解に努める。 ・相談者の状況や ニーズに応 じ、その領域に明るいキャリア コンサルタントへ橋渡しをする ネットワークも必要。

18. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 第1節 キャリアコンサルティングの基本的な進 め方 図表 2 – 8:本技法におけるキャリアコンサルティングの 手順 対象 段階 内 容 A-1 A-2 B C STEP0 場づくりと信頼関係の構築 STEP1 働くことに関する意識・意欲の確認 STEP2 働くことに関する価値観、基本的スキルの確 認 STEP3 啓発的経験 STEP4 働くことに向けてのキャリアパスの計画と確 認 STEP5 自己理解、仕事理解、組織理解の支援 STEP6 正社員に向けたキャリアパスの計画と確認 STEP7 方策の実行 各タイプ(A-1、A -2、B、C)に応じ た支援のステップを9 段階に纏めたもの

19. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 第2節 就職氷河期の労働者に対するキャリアコンサルティングの 流れ 図表 2 – 9:各STEPの構成 はじめに ⇒ 各STEPの内容や基本的な流れを記載しています 氷河期ならではの留意点 ⇒ 就職氷河期世代ならではの、注意するべきポイントを 解説して います ※STEP1、5では見立てのポイントも解説 支援ポイント ⇒ 具体的な声がけ、質問例、働きかけ方について 解説しています べからずポイント ⇒ やってはいけない声がけや働きかけ方、 態度について解説して います ツール ⇒ 各STEPで使えるツールを紹介しています

20. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 第3節 STEP0:場づくりと信頼関係の構築 (1)はじめに 最初のインテーク面談 相談者に対して安心・安全な場を作って、何でも話してもらえるような信頼関 係を構築する。 「キャリアコンサルタント自身で対応が出来る案件なのか」、 「(対応出来る場合)どのような支援が出来るのか」 見極めを行う。 相談者が職業生活に何らかの行き詰まりや躓き、生きにくさを感じていないか を丁寧に聞き取る。 キャリアコンサルタントには高いコミュニケ ーションスキルと観察力が求め られる。 全タイプ(A-1,A-2,B,C)共通

21. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (2)氷河期ならではの留意点 • まずは相談者の語りを否定・批判せず傾聴することで、信頼関係を構築する こと。 • 相談者に「この人は分かっていない」と判断されると、以後のキャリアコン サルティングが成立しなくなるため、注意が必要。 • キャリアコンサルタント自身の人生経験を前提に考えるのではなく、 相談 者の生きてきた時代背景(氷河期)を理解すること。

22. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【就職氷河期世代の現状と課題】 1. 就職氷河期世代は、氷河期以前の世代と比べて、賃金、格差意識、幸 福感などで世代間の「断絶」がある。 2. 就職氷河期世代の内部でも、仕事や生活の状況で違いがある。特に新 卒後の初職の状況やその後の転職経験等による違いが顕著である。 3. 就職氷河期世代は 20 代に経験した能力開発機会が少なかったという 共通認識がある。 4. 「社会的ひきこもり」などの生活や就労に困難を抱える人々が、就職 氷河期世代を含む中 高年に広がっている。 5. 生活や就労に困難を抱える人々の支援には、支援人材の確保と支援機 関の連携・向上が課題である。

23. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 • B、Cタイプの場合、相談者が年齢相応と思われるスキルを身に付 けていなかったり、仕事や社会に対する考え方が成熟していなかっ たりする場合もみられる。 ⇒ 指摘したり、否定する態度を出さないように注意が必要。 • 相談者のライフキャリアに関する価値観が、大きく異なる場合で あっても、落ち着いて受け止めるようにする。 (3)支援ポイント • 相談者には自分は環境に恵まれなかったという感情・気持ちを持っ ている可能性がある。 • 受容の姿勢を心がけ、その感情に寄り添うような声がけをする。 (4)べからずポイント

24. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (5)ツール ① 事前相談シート1(A-1、A-2タイプ向け) 一定の職業経験がある方向けのシート ② 事前相談シート2(B、Cタイプ向け) 通常の職務経歴書以外に、自由に本人が記述出来るフリーフォー マットを用意しておくと良い。 ③ OHBYカード(労働政策研究・研修機構、全タイプ共通) カードを使って作業をしながら、職業情報について色々な形で対 話をしたりコミュニケーション をしたりするためのツール。 ④ VRTカード(労働政策研究・研修機構、全タイプ共通) カードを使って作業をしながら、職業興味について、色々な形で 対話をしたりコミュニケーショ ンをしたりするためのツール。

25. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【①事前相談シート1(A-1、A-2タイプ向け)記載例】

26. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【②事前相談シート2(B、Cタイプ向け)記載例】

27. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【③OHBYカード(職業情報ツール)】 • カードを使って作業をしながら、職業や相談者について、色々な 形 で対話をしたりコミュニケーションをしたりするためのツール。 • 430 職種の職業情報が、48 枚の必要最小限のカードにまとまって いる。 • 職業の絵や写真を見て自分の職業興味を考え、最終的には本人の 職業興味の大まかな特徴や、関心のある職種、産業が分かる。 • 知っておくべき必要最小限の職業情報も得ることが出来る。 ◆OHBYカード https://www.jil.go.jp/institute/seika/ohby/index.html

28. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【④VRTカード(職業興味検査ツール)】 • カードを使って作業をしながら、職業興味について、色々な形で 対話 をしたりコミュニケーションをしたりするためのツール。 • カードの職務内容の記述または職業名を見て、その仕事をやって みたいかどうかの興味 や上手く出来るかどうかの自信で分類し、 職業への興味や自信への方向性を測定する。 • 「職業レディネス・テスト」という標準化された心理検査の一部 を簡単な項目に基づいて作成されている。 • VRTカードを活用している教育機関や職業相談機関での事例集 は、ホームページで見ることが出来る。 ◆VRTカード: https://www.jil.go.jp/institute/seika/vrtcard/index.html

29. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 第4節 STEP1:働くことに対する意識・意欲の確認 これからどうしたいのか、 どうなりたいのかを、 相談者本人の口から本人の言葉で語ってもらい、 働くことに対する意識と意欲を確認する。 現在の就業状況や正社員就労に向けた意識・意欲を確 認し、相談者のタイプの見立てを行う。 (1)はじめに 全タイプ(A-1,A-2,B,C)共通

30. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (2)氷河期ならではの留意 点 相談者の話の内容から、「現在の就労状況」「正社員就労に向けた 意欲・覚悟」を確認し、支援する タイプを見立てる。 相談者のコミュニケーション能力、対人関係構築スキルを丁寧に観 察する。 • 「相手に配慮したコミュニケーションが取れるかどうか」 • 「自分の意思をきちんと伝えられるかどうか」 • 「利己的な発言が多いかどうか」 • 「否定的な発言が多いかどうか」

31. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 図表 2 – 10:見立てのポイント A- 1 A- 2 就業状況 ・長期間にわたる一定期間の就労経験がある STEP 5 へ 意識・意欲 ・働くことへの具体的なイメージを持てている ※正社員の仕事理解、組織理解が出来ているかどうかは STEP5 で確認 B 就業状況 ・短期間で離転職を繰り返すなど、継続就業をしていない ・もしくは、一定期間継続就業をしているが、経済面で自立出来て いない STEP 2 へ 意識・意欲 ・働くことに対する意欲を持っている C 就業状況 ・短期間で離転職を繰り返すなど、継続就業をしていない ・もしくは、一定期間継続就業をしているが、経済面で自立出来て いない A-1、A-2タイプと見立てた場合は、STEP5(自 己理解、仕事理解、組織理解の支援)へ、 B、Cタイプ と見立てた場合はSTEP2(働くことに関する価値観・ 基礎的スキルの確認)へ進む。

32. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (3)支援ポイント 聴きだす内容 • 継続就労が出来ているか • 就労する意思はあるかどうか • 勤務状況や日常生活のスケジュール • どのような生活をしているか 相談者の希望する働き方は? 「自分に出来る仕事が何なのか分からない」 「どのように働くのかイメージがわかない」ケースも考えられる。 相談者とともに考えていく姿勢、声がけが求められる。

33. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【質問例】 ①勤務状況の確認 「今どのような仕事をされていますか」 「今の仕事については、どう感じられていますか」 「現在、どのように働かれていますか」 「1週間どのようなスケジュールで動かれていますか」 「何か生活で困っていることはありませんか」

34. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【質問例】 ②就労に向けた意欲の確認 「どんな仕事をしてきましたか(学生時代の経験でも可)」 「どんな工夫をしてきましたか」 「楽しかったこと、うれしかったこと、好きなことは何です か」 「得意なことはありますか」 「生活をしていく上で、大切にしていることは何ですか」 「あなたにとって働くってどういうことですか?」

35. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (4)「べからず」ポイント 【望ましくない声がけ例】 「自分のやりたいことなら何かあるでしょう」 「自分のことだから分かるでしょう」 相談者に年齢相応の社会的経験があると決めつけない。 次のような思い込みをしてはいけない。

36. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (5)ツール ①「好き」と「得意」を明確にする質問シート 相談者の自己理解、仕事理解の促進に用いる。アイスブレイクにも活用可能。 「好き」と「得意」を明確にする質問 1.好きな物(食べ物、音楽、場所、スポー ツ 等) 2.最高に楽しかったことは何か 3.知人、友人に「上手だ」と言われたこと 4.時間を忘れて熱中したこと 5.好きで夢中になれること 6.考えるとワクワクすること 7.小学校のとき、得意だったものは? 8.10 億円あったら何に使う?

37. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (5)ツール 【②振り返りシート】 過去の成功体験の振り返りを確認する際に使用する。 振り返りシート < 年を振り返って> 1.一番の成功体験は? ・成功した理由は? ・その成功はあなた自身にどんな影響を与えましたか? 2.心に残った出来事は? ・その出来事はあなたにどういった影響を与えましたか? 3.お世話になった人は誰ですか? 4.新たな出会いはありましたか? 5.今年一年間を漢字で表現すると?

38. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 第5節 STEP2:働くことに関する価値観、基本的スキル の確認 (1)はじめに STEP2~STEP4は、就労意思はある(または弱い) が、安定就労が出来ていない相談者や、 現状職業的自立が難し い相談者が対象。 本格的な正社員就労に向けた活動を行う準備段階として、 「社会人としての基礎的スキル」 「相談者の興味・関心の領域」 の確認を行っていく。 B,Cタイプ

39. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (2)氷河期ならではのポイント 相談者の年齢や経験を一般化して、分かったつもりにならないこと。 • 相談者の成功体験を引き出して明確化する。 • 相談者を非難せず敬意をもって長い目で接する。 • 相談者が自身の経験を 言語化出来ない場合は、キャリアコンサルタン トが上手く言語化してフィードバックをする。 ※フィードバックの際には、ポジティブリフレーミング(ものの見方・捉 え方を肯定的に捉えなおすこと)により、相談者の自己効力感を上げるよ う心がける。 専門用語を使わずに、分かりやすい言葉で伝えてる。

40. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【ポジティブリフレーミングの例】 ・頑固であ る → 意志が強い、自分の意見を持ってい る ・飽きっぽ い → 好奇心旺盛、興味の範囲が広い ・頼りない → 優しい、控えめ ・優柔不断 → 思慮深い、慎重、情報を精査してい る ・失 敗 → 成功への学び、伸びしろ

41. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (3)支援ポイント 確認すること • 「働くための基礎的スキル」 • 「仕事に就くためのスキル」 相談者 が「このスキルは出来る」と発言した場合には、具体的に 「何がどう出来るのか」掘り下げる。 何か出来ているところ、いいところを見つけた場合は、その点(出来 て いなかったとしても、その取り組んだプロセス)を具体的にほめ ることが重要。

42. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【働くための基礎的スキル】 ヒューマンスキ ル 電話応対、挨拶、勤怠、気遣い、顧客対応 テクニカルスキ ル PC、基礎学力、商品知識、情報収集力、文書作成能力、 メール、 報・連・相 【仕事に就くためのスキル】 応募書類の作成、面接ロールプレイなど

43. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (4)「べからず」ポイント • 相談者のスキルや経験を同世代の他の人と比較して捉えない。 • 相談者が分からないこと、言語化出来ないことを非難することは厳禁。 【望ましくない声がけ例】 「電話もちゃんと取れないのか・・・」 「もう少しちゃんと挨拶が出来ないと・・・」 「将来の事を全然考えていないなぁ・・・」 「年齢の割には自立出来ていないし、他人とのやりとりが出来ていないな」

44. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (5)ツール 基礎的なヒューマンスキル、テクニカルスキルのチェックシート 【働くための基礎的スキルチェックシー ト】 基礎スキル 本人の発言 具体的な内容・取り組んだプロセス H 電話応対 出来る・出来な い H 挨拶 出来る・出来な い H 勤怠 良い・悪い H 気遣い 出来る・出来な い H 顧客対応 出来る・出来な い 次頁へ続く ※H:ヒューマンスキル

45. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 基礎スキル 本人の発言 具体的な内容・取り組んだプロセス T 報・連・相 出来る・出来ない T PC 出来る・出来ない T 基礎学力 出来る・出来ない T 商品知識 ある・ない T 情報収集 出来る・出来ない T 文書作成 出来る・出来ない T メール 出来る・出来ない ※T:テクニカルスキル

46. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 第6節 STEP3:啓発的経験 (1)はじめに B、C タイプの相談者には、就労経験の少なさから振り返るべき経験が 不足しているケースがみられる。 啓発的経験を積み、振り返りを重ねることで相談者自身の自己理解と仕 事理解の 材料を積み重ねていくことを目指す。 大切なこと • 啓発的経験の都度振り返りを行う • 小さな成功体験をねぎらい、認めること B,Cタイプ

47. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 キャリアコンサルタントに求められること • ジョブインタビュー(※)や職場見学、イベント などへ相談者を紹介出 来るネットワークづくり ※相談者が興味・関心を持つ仕事を実際にされている方に、仕事の内容や 勤務状況、必要な知識・資格をヒアリングするもの = OB・OG訪問を イメージ (2)氷河期ならではの留意点 相談者からの要望 … 「年齢に理解のある体験先を探したい。」 職業体験の受け入れ先を探す際には、企業側には最初は年齢を強調せず に紹介する。 実際の働きぶりを見てもらうことで採用に繋がることが多い。 企業にも年齢に捉われない採用をするよう働きかけていく。

48. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 Bタイプの場合 興味・関心のある職種・業種を確認しながら、方向性を緩やかに絞って いく。 合同説明会に同行するなど、相談者に寄り添うような支援が必要。 社会的経験が少ない相談者は、職場体験を経験することが大切。 「働くイメージが持てる職場」を探していく。 (3)支援のポイント Cタイプの場合 働くことに向けて行動をすることから始める。 自己理解と仕事理解の材料を少しずつ増やしていくため、地域若者サ ポートステーションなど、就労支援団体などのセミナーやイベント、ワー クショップへ参加を促す。 外部との接点を持つことや、生涯設計の知識を学ぶ機会を持つことを支 援する。

49. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 親族の扶養に入るなど、現時点で不自由のない生活で危機感が薄い相談 者も存在する。 今の生活から抜け出すきっかけづくりに向けて、生涯設計やファイナン シャルプ ランニングの機会を設けるなどティーチングの機会を設けること も必要である。 B,C共通 地域若者サポートステーションや企業の人事担当などとコンタクトをと り、職場見学、ジョブインタビューを実施する。 ⇒ここで「働くこと」についてイメージを持つことが出来るかヒアリング を行う。 相談者が「働くこと」についてイメージを掴めて関心を持てる職場であ れば、2時間程度の職場体験から始める。

50. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 はじめから一カ所の職場に限定しない 複数の職場体験を繰り返す 短時間勤務から始める いずれはフルタイムで働く 行動に移せない場合には、動か(け)ない理由も丁寧に聴く。 職場見学や労働体験の前後で、相談者の事前の予想と現実とのイメージの ギャップがあったか、そ れはどのようなことかを都度、具体的に確認する。

51. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 啓発的経験(職業体験)に向けての計画策定 • 「やりたくないことを挙げてやりたいことを探 していく消去法」 • 「就職情報誌に○×をつけて、働きたい職種のイメージを探る」 • 「職業マイニング」 といった方法が考えらる。

52. (4)べからずポイント 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 相談者の自信を失わせるような発言や押し付けを伴う発言はNG。 職場体験、短時間勤 務時に相談者を急かすような発言も望ましくない。 【望ましくない声がけ例】 「この程度ではまだ足りないですね」 「このくらい普通ですよ」 「もっと出来るのでは?」 「いい職場だったのなら、そこで働けばいいと思いますよ」 「イメージに合うのであれば、ここでいいでしょう」 「せっかく働けそうなのですから、早く決めた方が良いですよ」

53. (5)ツール 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 相談者の自信を失わせるような発言や押し付けを伴う発言はNG。 職場体験、短時間勤務時に相談者を急かすような発言も望ましくない。 ①職業マイニングシート 「職業分類の大・中分類項目表」を参照し、自身の興味・関心のある職 業や働く場所、必要な資格・知識の整理を行い、就業経験先の絞り込み に使用する。 ②働くことを考えるシート 職業マイニングシートをもとに、相談者自身が興味のある業界・仕事な どについて、分かること・ 分からないこと、その仕事に就くにあたって 必要となる条件面などについて整理していく。

54. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 ③経験振り返りシート 職場体験を経験した後、経験振り返りシートを使用して本人の自己理解、 仕事理解を促す。

55. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【①職業マイニングシート 】 職業名 中分類・小分類に書いてある職業名を転記します 選んだ職業 (細分類) 細分類、あるいはその中にある該当例の中から、面白そうなもの、 興味深いものを選んでください その職業の内容 (具体的に) 選んだ職業の内容を調べて記入します 働く場所はどんなところです か? 職場の様子や雰囲気を書きます。きっとこうだろうという想像を 加えても構いません どんな知識・資格が必要です か? その仕事をするのに必要な知識や能力、公的な資格や免許だけで なく、取得しておいたほうがよい資格も書いてください。ここも、 きっとこんなことを知っているほうがよいだろうというものを加 えても構いません 検索した中分類・小分類のコード ←分類コードを記入し ます

56. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【①職業マイニングシート 記入例 】 職業名 635 計量計測機器・光学機械器具検査工 選んだ職業 (細分類) 光学機械器具検査工(レンズ検査工) その職業の内容 (具体的に) 光学機械器具・時計の製造工程で。測定機器などを用いて、製品 の外観・寸 法・動作・精度などを検査する 働く場所はどんなところです か? カメラのレンズ工場やめがねのレンズ工場 もしかしたら、東京M 市にあるという天体望遠鏡メーカーもここかな? どんな知識・資格が必要です か? 学歴や資格はいらないけれど、やる気と根気が必要らしい。材料 に関する知 識も必要なはず 検索した中分類・小分類のコード 635 ※資料出所:「自分のキャリアを自分で考えるためのワークブック」(日本能率協会マネジメン トセンター)

57. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【厚生労働省編職業分類の大・中分類項目表 】 項目名 A-管理的職業従事者 01-管理的公務員 02-法人・団体役員 03-法人・団体管理職員 04-その他の管理的職業従事者 B-専門的・技術的職業従事者 05-研究者 06-農林水産技術者 07-製造技術者(開発) 08-製造技術者(開発を除く) 09-建 築・土木・測量技術者 10-情報処理・通信技術者 11-その他の技術者 12-医師,歯科医師,獣医師, 薬剤師 13-保健師,助産師,看護師 14-医療技術者 15-その他の保健医療従事者 16-社会福祉専 門職業従事者 17-法務従事者 18-経営・金融・保険専門職業従事者 19-教員 20-宗教家 21-著述 家,記者,編集者 22-美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者 23-音楽家,舞台芸術家 24-その他 の専門的職業従事者 C-事務従事者 25-一般事務従事者 26-会計事務従事者 27-生産関連事務従事者 28-営業・販売事務従事者 29- 外勤事務従事者 30-運輸・郵便事務従事者 31-事務用機器操作員

58. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【厚生労働省編職業分類の大・中分類項目表 】 項目名 D-販売従事者 32-商品販売従事者 33-販売類似職業従事者 34-営業職業従事者 E-サービス職業従事者 35-家庭生活支援サービス職業従事者 36-介護サービス職業従事者 37-保健医療サービス職業従事 者 38-生活衛生サービス職業従事者 39-飲食物調理従事者 40-接客・給仕職業従事者 41-居住施 設・ビル等管理人 42-その他のサービス職業従事者 F-保安職業従事者 43-自衛官 44-司法警察職員 45-その他の保安職業従事者 G-農林漁業従事者 46-農業従事者 47-林業従事者 48-漁業従事者

59. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【厚生労働省編職業分類の大・中分類項目表 】 項目名 H-生産工程従事者 49-生産設備制御・監視従事者(金属製品) 50-生産設備制御・監視従事者(金属製品を除く) 51 -機械組立設備制御・監視従事者 52-製品製造・加工処理従事者(金属製品) 53-製品製造・加工 処理従事者(金属製品を除く) 54-機械組立従事者 55-機械整備・修理従事者 56-製品検査従事者 (金属製品) 57-製品検査従事者(金属製品を除く) 58-機械検査従事者 59-生産関連・生産類似 作業従事者 I-輸送・機械運転従事者 60-鉄道運転従事者 61-自動車運転従事者 62-船舶・航空機運転従事者 63-その他の輸送従事者 64-定置・建設機械運転従事者 J-建設・採掘従事者 65-建設躯体工事従事者 66-建設従事者(建設躯体工事従事者を除く) 67-電気工事従事者 68-土 木作業従事者 69-採掘従事者

60. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【厚生労働省編職業分類の大・中分類項目表 】 項目名 K-運搬・清掃・包装等従事者 70-運搬従事者 71-清掃従事者 72-包装従事者 73-その他の運搬・清掃・包装等従事者 L-分類不能の職業 99-分類不能の職業 ※小分類・細分類は「厚生労働省編職業分類」参照 https://www.hellowork.go.jp/info/mhlw_job_dictionary.html

61. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【②働くことを考えるシート】 働くことを考えるシート (1)興味のある業界、仕事について書き出してください。 □興味のある業界、仕事 □上記について、分かること、分からないこと 分かること 分からないこと (2)上記(1)について気になることを書き出してください。 (例)仕事の内容、労働条件(賃金、勤務時間、休日・休暇、通勤時間など)、職場環境(業務負荷、 職場の 雰囲気など)、職場のルール(教育訓練、評価、昇格・昇進など)

62. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 【③経験振り返りシート】 何が成果につながったかを考えよう(経験振り返りシート) 充実していた/楽しかった/おもしろかった/はりきっていた/やりがいがあった仕事 今まで携わった仕事を振り返って、思いだせることを書いてみましょう。書けるところから書き 始め、 空欄が残っても構いません。 記入日: 年 月 日 名 前: 担当業務 やっていた仕事は? 時 期 年 月 ~ 年 月 ( 年 か月) 理 由 なぜ充実していましたか? 自分なりに考えたこと 工夫したこと・行動したこと 次頁に続く

63. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 成 果 やりとげたこと、評価されたことやっていた仕事 は? 発揮したスキル 活用した知識、経験、資格 身につけたスキル 新たに出来るようになったことは? 職位・立場 その時の人間関係 上司、部下、関係部署、取引先と の関りは? その他 気づいたことなど 得意なこと、好きなことは発見出来ましたか?

64. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 第6節 STEP3:啓発的経験 B,Cタイプ (1)はじめに 細かい達成可能な目標を作り、実行し、達成出来たかどうか確認する ステップを繰り返すことで、少しずつ相談者が長期継続就労するための 経験と知恵を身に着けていく。 焦らず、STEP3とSTEP4を何度も繰り返し、スモールステッ プで行うことが重要。 (2)氷河期ならではの留意点 まずは達成可能な目標を設定する。 「何を」「いつまでに」「どのように」行い、出来たことは承認して 次の行動へ繋げる。 スモールステップで進んでいくことを、本人にも企業にも理解しても らう。

65. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 (3)支援のポイント 途中で働くことに対して 躊躇する傾向がみられた場合は無理強いをせ ず、STEP2、3に戻ることも検討する。 ①どれくらいの時間であれば働けるのかを確認しながら、短い期間でマ イルストーンを置いていく。 ②「フルタイムで働くこと」をこのステップにおける最終ゴールとし、 期限もスモールステップで実践。 ③週にどのくらい働けるのかによって、どのようなアルバイトなら出来 るのかを決める。 ④いつまでにフルタイムで働きたいか、期限を決めて、行動を振り返る。 ⑤小さなことであっても、出来たことを認め、やったことをねぎらい、 相談者自身の自信を深めていく。

66. 第3章 キャリアコンサルティングの進め方 ⑥相談者が考えていることを言語化しながら、スモールステップで目 標設定を行う。 ⑦いきなり正社員を目指すのではなく、アルバイトなども視野に入れ ながらスモールステップで経験をしていく。 ⑧啓発的経験(STEP3)と目標設定(STEP4)を繰り返して、 自己理解と仕事理解のベース となる経験を積み重ねていく。 ⑨次ページの表の情報を整理し、意思決定に向けた段階の整理を行 う。