



























































































1. セルフ・キャリア ドック 普及拡大加速化事業 好事例集
2. はじめに ・日本の労働社会は、「組織による労働者のキャリア形成」から「労働者自身によ るキャリ ア形成」へと、そのスタイルを変化させつつある ・日本再興戦略改訂 2015では「働 き手が自らのキャリアについて主体的に考える 習慣を身に付ける環境を整備することが重 要」であることが示された ・改正職業能力開発促進法(平成28年施行)では、労働者自身が職業生活設計と職 業能力の開発・向上を行うことだけでなく、事業主が労働者のキャリアコンサル ティングを受ける機会の確保等の援助を行うことが謳われた →厚生労働省は、平成28年度~平成29年度に「セルフ・キャリアドッ ク導入支援 事業」を実施 ・平成30年度からの「セルフ・キャリアドック普及拡大加速化事業」において、セ ルフ・キャリアドックを試行的に導入した企業の中から、公開の許可をいただいた 10 社の事例を紹介
3. 変化が激しく先行き不透明な時代において、人生に唯一の正解 はありません。労働者一人ひとりが自身の仕事や働き方について 再検討し、企業と協力し あって、各自のキャリアと組織のあり 方をより充実させていく必要があります。 本事例集は、この時代の要請を鋭敏に感じとった各企業の導入担 当者が、経営者や従業員の理解と協力と信頼を獲得し、従業員の 喜びの声と組織改善の新たなヒントを獲得するまでの、いわ ば 「開拓者の物語」であるといえます。
4. 1.はじめに 2.事例集の見方・使い方 3.セルフ・キャリアドック とは 4.事例10 社の概要 目次 5.各企業の事例紹介 ・株式会社インテージ ・株式会社エスクロー・エージェント・ ジャパン ・株式会社グランバー東京ラスク ・株式会社ジオネクスト ・水ing 株式会社 ・DIC 株式会社 ・日清紡テキスタイル株式会社 ・株式会社パスコ ・ブラザー販売株式会社 ・社会福祉法人和修会
5. 企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサ ルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体 系的・定期的に従業員の 支援を実施し、従業員の主体的な キャリア形成を促進・支援する総合的な取組、また、そのため の企業内の「仕組み」のこと セルフ・ キャリアドッグ とは
6. 従来の人材育成 ・組織にとって必要なマインドやスキル、 知識の獲得を目指すという、組 織の観点からの人材育成 セルフ・キャリアドッグ ・従業員一人ひとりが主体性を発揮し、キャリア開発を実践することを重 視・尊重する人材育成・支援を促進・実現する仕組み ・中長期的な視点で従業員一人ひとりが自己のキャリアビジョンを描き、 その達成のために職業生活の節目での自己点検や実践に活用する取組プロ セスを提供 1.セルフ・キャリアドッグの 定義
7. ・IT化の進展や国際競争の激化など、変化の激しい時代。企業はビジネスモデルや事業内 容の大胆な変化を迫られている ・改正職業能力開発促進法(平成28年4月1日施行)にて「労働者は自ら職業生活設計 (キャリアデザイン)を行い、これに即して自発的に職業能力開発に努める立場にある」 と規定された ・事業主はそれに対する措置として「キャリアコンサルティングの機会を確保し、その他 の援助を行う」ことが規定された セルフ・キャリアドッグ ・具体的な施策を反映した取組 ・企業としての人材活用目標と従業員一人ひとりのキャリア目標とを調整していくことで、 企業の活力・生産性向上と従業員のキャリア充実を両立することにつながる 2.セルフ・キャリアドックの意義・必 要性
8. (1)セルフ・キャリアドックの導入目的と効果 ① 従業員にとっては自らのキャリア意識や仕事に対するモチベーションの向上とキャリア 充実 ② 企業にとっては人材の定着や活性化を通じた組織の活性化 (2)セルフ・キャリアドックの実施形態 ① 新卒採用者の離職率が高いという課題に対して ・新卒採用者へのリアリティショックや働く作法を含めた定着支援・働き方支援 ・キャリアプランの具体化のベースとなる、仕事への向き合い方・取り組む意 欲などのマ インドセットと、キャリアパスの可能性の明示などを通したキャリアプラン作り の支援を 通して、職場への定着や仕事への意欲を高めていく キャリアパスとは:個々の社員のキャリア形成や昇進に必要な仕事の経験やそのプライオ リティづけを通した経験を積むことが期待される順序 3.セルフ・キャリアドックの導入目的、効果と実 施形態
9. ② 育児・介護休業者の職場復帰率が低いという課題に対して ・育児・介護休業者の職場復帰を円滑に行う ・育児・介護休業者が抱える不安を取り除き、仕事と家庭の両立に関わる課題の解決支援 を行う ・職場復帰のためのプランを作成することにより、職場復帰を円滑に行う ・職場復帰に関する直近のプロセスだけでなく、復帰後中長期的な視点に立ったライフ キャリア作りの支援の相談にのる ③ 中堅社員のモチベーションが下がっているという課題に対して ・従来型の人事制度が大きく変わり、年功序列型の昇進・昇格が保証されにくい仕組みの 中で、 管理職に昇進しない従業員が著しく増加する傾向(特にバブル崩壊以降に採用され た従業員) →モチベーションの維持・向上において昇進・昇格や昇給を中心としたキャ リアアップ の方策が機能しにくくなり、むしろキャリア充実に視点をシフトした対策が求められてい るが、組織の人事施策や個人の働くマイン ドが充分に対応しきれず、中堅社員のモチベー ションが低下 セルフ・キャリアドッグにて、自己の持つ多様な能力を棚卸し、その能力の発揮を通して 3.セルフ・キャリアドックの導入目的、効果と実施形態 (続き)
10. ④ シニア社員の長い生涯キャリアの設計とそ の実践という課題に対して 生涯現役の期間が長期化により「どのように シニア期を過ごすか」をシニア期前から視野 においた職業生活の設計、ライフキャリア構 築が重要なテーマに ・いくつになっても仕事で成長を実感し、充 実感をもって仕事ができるように、シニア社 員の活性化と能力発揮を促す研修とキャリア コンサルティング面談を連動させた施策を提 供 ・シニア社員のモチベーションの維持・向上 3.セルフ・キャリアドックの導入目的、効果と実施形態 (続き)
11. 事例10社
12. 株式会社インテージ 株式会社インテージ 人事部 人事マネジメントグループ グループリーダー 中野 愛子
13. 導入経緯 ・きっかけ:セルフ・キャリアドック普及拡大加速化事業の案内 ・「今後のキャリアが描けない」「方向性が定まらない」等 で悩んでいる社員が、働く意 味・意義を再確認できたり、今後のスキルアップの方向性を考えられたりすることで、モ チベーション維持向上・スキルアップ・キャリアアップを期待。そのことが会社の成長や 生産性の向上につながると考えた 導入目的 1) 個人の中長期キャリアプラン(イメージ)を踏まえたモチベーシ ョン向上 2) 自律的キャリア形成に向けた意欲の向上 3) 社員のリテンション(退職防止)
14. 当初の課題 ・社員が自身のキャリアについて、自ら考え、必要な行動を起こす意識の醸成が十分でな かった ・社員自らが自身のキャリアを見つめなおすための研修等の機会提供が不足 具体的な取組 ・実施時期:平成31年1月 ・候補者:自社キャリアデザイン制度において、社内のキャリアコンサルタントが記載内 容を確認し、キャリア支援が必要と見受けられた正社員のうち、希望者に実施 ・対象人数:15名 ・社員向け周知セミナー:希望者のみに実施する形式を採用したため、希望者のプライバ シーに配慮し、集合形式では実施せず、候補者に導入支援事務局作成のガイダンス資料を 個別配布
15. 取組を進める上での苦労、工夫 ・実施時期の事業環境、現場の繁忙の状況に配慮し、現場負荷の少ない実施の仕方を検討 ・キャリアコンサルティング面談を受ける本人および上司に対し、配慮を徹底 →候補者の上司にメールで候補者選定理由を伝え、実施の意図や会社のねらい・所要時 間などを丁寧に説明し許諾を得る →候補者には対面にて実施の意図や会社のねらい・上司承諾済であること・面談で話し た内容が上司や会社に伝わることはないことなどを、丁寧に説明 セルフ・キャリアドッグの効果 ・案内した24名の候補者のうち、予定通り15名から希望があった ・希望者が真摯に自身のキャリアに向き合う状態を作ることができた ・キャリアコンサルティング面談の「満足度」「有効性」「今後の利用意向」はいずれも 100%
16. 従業員の声 ・仕事だけでなくライフの部分もからめて、キャリアコンサルティング面談をしていただ けました ・自分が表明できるキャリアビジョンは何もないと思っていたが、形にすることができま した ・仕事に対する思いや価値観とともに選択肢まで整理できました ・今まで、漠然と考えていたことを具体的に言語化して考えるよい機会になりました ・今後の働き方について、挑戦する領域にきづけました 経営陣からの声 ・上司からは「部下が悩んでいるようなのでキャリアコンサルティング面談をお願いした い」「本人が希望するのであれば、お願いしたい」などの声がありました。 ・離職につながることを懸念する声がありましたが、実施目的を説明し理解を得ました。
17. 今後取組む事項 ・通年のキャリア相談窓口(任意来談)の 運用開始 ・健康管理室と連携し、キャリアに関する悩みによるものが見られた場合には、保健師が キャリアコンサルタ ントへのキャリア相談の提案を行い、本人が希望した場合はキャリア コンサルタントへの対応につなげることを決定 今後の課題と展望 ・キャリア相談から明らかになった組織課題を現場のマネージャーにフィードバックし、 職場の環境改善、業務改善に活かす「仕組み」を模索 ・中途入社社員のリテンションに資するキャリアコンサルティング面談を実施 ・キャリアコンサルティ ング面談の実施以前と実施後の社員満足度調査における「勤務満 足度」「継続勤務意向」等の変化を分析することによる有効性の検証
18. 株式会社エスクロー・エージ ェント・ ジャパン 株式会社エスクロー・エー ジェント・ジャパン 人事部 主任 西村 淳
19. 導入経緯 ・人事職(キャリアコンサルタント)としての制度への関心と社会要請(説明会の参加や導入 支援も受けられたため) ・人材育成方針が成文化され、当社従業員としての価値観や行動基準を周知する必要性や、従 業員サーベイの厳しい結果を受けてエンゲージメントを向上させうる人事施策の要請があった ため 導入目的 ・社会的潮流(企業が組織活動としてキャリア支援を行い、組織と従業員を活性化する期待と 責任)への対応 ・人材育成方針の浸透 ・従業員の自己肯定感の醸成、社会要請への対応 ・人事施策による従業員エンゲージメントの向上 ・従業員の定着や生産性の向上
20. 当初の課題 ・従業員が自身のキャリア形成する上で、自らの意思でこの会社にいる存在意義を感じら れていないのではないかという懸念 →従業員が会社に必要とされている自己肯定感を高めることを期待 ・従業員のキャリア形成につながるアクションが不足しており、組織が 活性化されていな い 具体的な取組 ◆ガイダンスセミナーの実施 ・中途入社社員に対して人事による中途入社後の適応フォローと研修の一環(キャリア教 育)として、参加を要請 ◆キャリアコンサルティング面談の実施 対象層:直近2年以内の中途入社者(管理職、シニア等除く) 人数:男性4名・女性6名 合計10名 実施期間 平成31年1月16日~1月23日
21. ◆キャリアコンサルタントが面談を通じて把握した 社員の以下の様子を人事担当者にフィー ドバック ・対象社員は転職から間もないこともあり、全体的に真面目で一生懸命という印象がある ・ 期待に応えられていない、成果が出ていないと考え込んでおり、 MUST(やるべきこと) と CAN(できること) にギャップが見られ自己効力感が下がっている傾向が見られた ・業務や専門知識を覚えることに精一杯で、適職かどうかの判断ができない不安が感じられ た ・上司の理解と周囲のサポートを欲している様子が見られた ・自己成長への課題感を持ち、前向きに取り組んでいこうとする姿勢が見られた ・業務量が多くなかなか思考する時間が取れない環境下で、自身の可能性や「これから」を 模索している様子が見られた 具体的な取組(続 き)
22. 取組を進める上での苦労、工夫 ・耳慣れない言葉(キャリア等)への抵抗感、キャリア面談は役職定年者向けに行うもの という考え、キャリア開発が転職助長になるのではないか等の不安があり、セルフ・キャ リアドックの概念浸透に苦慮 →先ずは自部署のミーティングで制度や用語の説明し、徐々に理解の範囲を広げた ・経営陣の理解に繋げるには壁が高く、スモールスタート(対象人数の絞込み)及び費用 を極力掛けないことを意識 セルフ・キャリアドッグの効果 ・対象者のキャリア理解度合いと、対処すべき課題や傾向が顕在化 ■従業員:自己理解が進んだ(気づきが得られた)ことで、今後のキャリア形成について考 えが至るようになり ました ■組織:今後の課題と展望について、具体的な施策を企画することができました
23. 従業員の声 ・話していてとても楽な気持ちになった ・迷いや不安なところが解消された ・また何か変化があれば、改めて受けてみたいと感じた ・日々の姿勢、自分のやるべきことが明確になった ・客観的に自分を見ることができた ・できることが身近に沢山あると分かった ・自分自身の課題を見つめ直せた ・視点を変えて(自分の)良いところを指摘してくれた ・的確に意見やアドバイスをしてもらえた ・本質的な悩みを引き出してもらえたので、気持ちを前向きにできた 経営陣からの声 ・社会的潮流を踏まえた取組自体は好ましいことだが、従業員の定着性の向上等、可視化でき る成果が得られるようにしたい。対象の拡大等については、成果を踏まえて継続的に検討を 行っていきたい。
24. 今後取組む事項 企業内の定着に向けて ・直近の中途入社社員に限らず、期待と成果のギャップが生じやすい若手社員に対象を拡 大 ・継続的な機会提供に向けて、管理職や人事部員を中心にキャリアコンサルタント資格の 取得勧奨を実行 今後の課題と展望 ・中途入社社員に、組織のメンバーとしてどう適応させていくかという問題解決の施策実 施(対象者とその上司に組織再社会化の概念を伝達するため、チェックリスト配布等) ・上司とのコミュニケーションを活発にするため、月1回の1on1ミーティングを制度化、 評価者が面談で社員のキャリア志向も確認することで、適材適所の人材配置を再検討
25. 株式会社グランバー東京ラスク 株式会社グランバー東京ラス ク 人事部 部長 関根 義雄
26. 導入経緯 ・「定着せず、離職してしまう」若手社員や中途社員が多く見受けられる →「会社の中でのキャ リアの道筋が見えない」、「経営陣の “ 事業に対する思い ” や “ 社員 への期待 ” が浸透していない」 →社員が自律的にキャリアの道筋を検討する力と会社の意識を変える機会が必要であるため 試行導入へ 導入目的 ・社員それぞれが自分のキャリアを考えることにより、キャリア自律やモチベーション向上を 図り、組織の活性化につなげる ・現時点の業務と役割について、社員一人ひとりがキャリア形成支援上の意味及び価値に気づ くこと
27. 当初の課題 ・若手社員・中途社員の定着がよくない →社員一人ひとりに合ったキャリアを考える支援が必要 ・人材育成の仕組みをつくり、全従業員のモチベーションの向上を図ることが重要な課題 具体的な取組 ◆ガイダンスセミナーの実施 ・優先的に管理職を対象 ・現場配属の若手 社員を数名対象とすることを考慮し選定 ・ガイダンスセミナーの冒頭で人事から会社のメッセージを伝え、全社員で会社の考えを 共有 ◆キャリアコンサルティング面談の実施 対象層:経営層-若手まで 人数:男性10名・女性11名 計21名 実施期間:平成 31 年 1 月 21 日から平成 31 年 1 月 31 日 面接時間:1 時間 /1 名
28. ◆キャリアコンサルタントが面談を通じて把握した 社員の以下の様子を人事担当者にフィー ドバック ・キャリアコンサルタントより「社員が会社や商品に対して、非常に愛着を持っている。た だ、それぞれの社員について、(キャリア含め)会社はどのように考えているのかという不 安を持っている」とのフィードバッ クを受けた →このような社外キャリアコンサルタントからのフィードバックの内容は、非常に新鮮で 刺激的な内容だと受けとめた ◆実施結果報告 ・社員の満足度:大変満足・満足:100% ・自分にとってどの程度有益か:有益だった:100% ・今後もキャリアコンサルティング面談を受けたいか:受けたい:86% 具体的な取組(続 き)
29. 取組を進める上での苦労、工夫 ・経営陣、社員とも取組に対して疑心暗鬼であったため、対象の社員にセルフ・キャリア ドックの試行実施について、目的や内容、所要時間等説明をして、事前に了承を得るよう 働きかけ ・経営陣には、キャリ アコンサルティング面談を体験してもらい、キャリアコンサルティ ングについての理解を促した セルフ・キャリアドッグの効果 ■若手社員 →自らキャリアという言葉を使うようになり、今の部署以外の仕事をやってみたいと考 えたり、今の業務をさらに高めていったりすることに気持が切り替わった。職種への異動 なども相談にくるように。 ■管理職 →自分自身のキャリアと部下のキャリアを考える必要性があるという意識が生まれた
30. 従業員の声 ・キャリアプランや直近にやるべきことが明確になった。 ・社内の人には言えないことが相談できた。 ・気づかない自分の姿を教えてもらえた。 ・自分の仕事に対する考えなどを見直す機会になったので、とても満足した。 ・自分の何となく不安に思っていたことに丁寧に相談に乗っていただけて満足した。 ・面談の機会を再度持ちたい。 ・定期的にキャリアコンサルタントのキャリアコンサルティングを受けたい ・今までこのような場がなかったので、将来のことを考えるきっかけになった ・今やるべきことがわかった 経営陣からの声 ・対象社員より「今後もやってほしい」との声があがったため、一人ひとりの社員が自律的に キャリアを考えることができるよう、定期的にキャリアコンサルティング面談を検討しい
31. 今後取組む事項 企業内の定着に向けて ・会社の規程にセルフ・キャリアドックを位置づけることとし、会社全体として取組んでいる ことを明確にする ・キャリアコンサルティング面談を今年度中に人事部の社員に対して実施 今後の課題と展望 ・社員に対してキャリアに関するアンケートを年2回実施し、内容を確認のうえ、キャリ アコ ンサルティング面談を実施予定 ・働き方改革における社員モチベーションアップ・女性活躍推進の取り組み強化・シニア 社員の活躍できる仕組みづくりにも取り組む予定
32. 株式会社ジオネクスト 株式会社ジオネクスト 事業 本部 副本部長 小倉 浩靖
33. 導入経緯 ・低迷する経営状態改善の一環として、以前より、仕事に対してヒトゴト(指示待ち)ではな く、ジブンゴトとして向き合うことができる自律的社員を増やす必要性を感じていた 導入目的 ・仕事に対してジブンゴトとして向き合い、コスト意識を持って前向きに取組める自律的人材 を増やすことで、生産性を高め利益の出る企業体質への改善へつなげること
34. 当初の課題 ・働く意味や仕事に対する意味づけができていないため仕事に向き合えない社員がいる ・経済成長期をパワフルに生きてきた先輩社員と今の若い社員たちでは、仕事に対する思 いに温度差があり、教え方教わり方に対する考え方が違う。その違いを意識せずに、思い の強さだけで指示命令的に「こうあるべきだ」と接してしまうことに課題を感じていた 具体的な取組 ◆ガイダンスセミナーの実施 ・冒頭で人事から人材育成ビジョンと今回の試行実施の目的を説明 ・アドバイザーより「キャリア」について の説明や考え方を聞く ・グループワークを実施し、楽しみながら自分の過去を振り返ることで自己理解を深め、 思いを言語化することを体感
35. ◆キャリアコンサルティング面談の実施 ・業務との関係上いくつかのグループに分け1ヶ月程度をかけて実施。 ・試行実施から3ヶ月程度経過後、社内のキャリアコンサルタントによるフォロー面談を行 い、試行実施で行った面談の感想や考え方の変化などを確認 ◆キャリアコンサルタントが面談を通じて把握した 社員の以下の様子を人事担当者にフィー ドバック ・社員たち各自が、会社や上司に対して、なんらかの思いを持って日々働いていることを 知った 例「もっと上司とコミュニケーションしたい」、「挨拶ができない」、「社内報的なものが あれば他部署との状況共有ができるのではないか」などの具体的な案が社員から出ていたこ とにも驚いた 具体的な取組(続 き)
36. 取組を進める上での苦労、工夫 ・面談の人選段階で難色を示す社員に対しては、プライベートも含め「今の環境や上司に 対する不満はないのか」、そして何より「面談は誰の利益になるのか」を考えてもらうこ とで、前向きに参加してもらった セルフ・キャリアドッグの効果 ・若い社員ほど意識の変化があった 例:派遣先で周囲との接し方で悩んでいたが、それほど悩むことではなかったと気づいた、 面談直後に表情が見違えるほど明るくなった ・高い年齢層の社員では、若年層に比べ変化が出難いため、面談を工夫したり、継続して 面談等を行 う必要性を感じた
37. 従業員の声 ・研修を受けた管理職の中から、部下の内面部分に注意を向ける管理職が出てきた ・面談を受けることに後ろ向きだった社員から、面談終了後すぐに「参加してよかった」 と感想のメールが届き、 今回一部の社員にのみ行ったキャリアコンサルティング面談を全 社員に対して行って欲しいと書かれてい たことが印象的だった 経営陣からの声 ・生産性を利益率と捉えるのであれば結果的に向上しているが、試行実施から半年程度である ため、それが 試行実施の直接的な効果なのか判断できない面があると考えている ・ただ、試行実施に当たっては社長自身がキャリアコンサルティング面談を受け、直後の反応 は薄かったものの、 数日経ってから「ああいう機会はあってもいいよね」との発言があた
38. 今後取組む事項 企業内の定着に向けて ・経営者が従業員のキャリア支援を経営課題として捉えることがとても重要で、「国が勧め る制度だから」「よい制度だから」という理由ではなく、経営者が自分の声で「自分たちは、 こうなるためにこれを行う」という決意のもとに従業員間でもしっかりと意思統一すること が成功につながるのではないかと考える ・ 社内の人事担当やセルフ・キャリアドック推進者が、経営層に対して根気よく伝えてい く必要性を感じた ・今回は試行実施として1回の研修と面談だったが、継続的に実施できるよう環境を整えて 行きたい 今後の課題と展望 ・社内で取組を行うキャリアコンサルタントについては、キャリア理論やカウンセリング スキルだけではなく、組織開発の歴史やそこに潜むリスク等も意識した上で体系的に学習 を進める必要性を感じた ・企業内キャリアコンサルタントとしてやるべきことを整理し、そのためにどんなスキル や学習が必要なのかををまとめて次につなげたい
39. 水ing株式会社 水 ing 株式会社 採用・研修部 北澤 由香
40. 導入経緯 ・人口構成が45歳~55歳のミドル層がボリュームゾーンといういびつな形態をしており、 従来の人事施策だけでは追いつかない状況になりつつあった ・ミドル層がボリュームゾーンであるため役職無し管理職が増加、昇進・ 昇格で得られる はずの研修機会が減少していた ・ミドル層へのキャリア開発支援の機会拡大、および活性が必須であるとの共通認識 →50歳を対象としたキャリア研修を実施。2回目のキャリア研修を企画するタイミングで、 キャリア研修後のフォロー施策として本事業の施行実施を決定 導入目的 ・定年が視野に入る50 歳という節目で自分と向き合う機会を提供し、社員一人ひとりが自 らのキャリアを振り返るとともに、今後に向けてキャリアを主体的に考え行動すること、 その結果組織の活性化に寄与することを期待 ・受講者が研修で作成したキャリアプランの実現を支援
41. 当初の課題 ・中長期的な従業員構造の変化を前に、ボリュームゾーンであるミドル層(45歳~55歳) の活性化が課題 具体的な取組 ◆キャリア研修の実施 ・49 歳~ 51歳社員の中で数年間研修機会の無かった社員から優先的に選抜しキャリア研 修を実施。 ・研修冒頭で人事担当役員から研修に対する期待メッセージを発信してもらい、受講者全 員で共有 ◆ガイダンスセミナーの実施 ・面談の狙いや面談の流れを受講者へ説明し、受講者は面談準備シートを作成 ・面談実施の理由やメリットを受講者へ伝えることが重要であると考え、トライアル導入 以降も社内でガイダンスを実施している
42. ◆キャリアコンサルティング面談の実施 ・キャリア研修実施から1ヶ月後、研修受講者15名に社外キャリアコンサルタントによる キャリアコンサルティング面談を実施 ◆キャリアコンサルタントが面談を通じて把握した 社員の以下の様子を人事担当者に フィードバック ・社外キャリアコンサルタントから、面談者の全体的な傾向と相談者に共通する組織的な 課題、今後の取組についてアドバイスを受けた ・アドバイスを受けた「キャリアコンサルティング面談」の期的な実施については、今年 度キャリア研修でも継続実施 具体的な取組(続 き)
43. 具体的な取組(続 き)
44. 取組を進める上での苦労、工夫 ・受講者及び上司に対して、研修の狙いやゴールを共有することに苦労。50 歳を対象とし たキャリア研修は初めてであったため、受講者の中には「何を実施するのかわからない」 といった不安を抱える社員もいた。払拭のために研修ガイドブックに加え、案内メール本 文でも研修の狙いを強調し、実施内容も他の研修に比べて具体的に明記することで研修の 狙いを理解してもらった ・研修に対する上司の巻き込みも苦労。研修時期と MBO面談時期が重なっていたことも あったのでMBO面談の場で研修内容を上司と受講者との間で共有することを促し、上司の 研修に対する理解を得られるよう工夫
45. セルフ・キャリアドッグの効果 ・研修を否定的に捉える受講者もいたが、多くの受講者は素直に受け入れ「今後のキャリア を意識するきっかけとなった」 とのコメントもあった ・職場や部署をこえて同世代の社員が集まる研修において、自身の経験を語り、互いに認 め合うことで、個人のモチベーションアップにつながる良い機会となり、受講者の業務に 対する熱意と誇りを感じることができた ・研修と併せて行ったアセスメント(適性検査)の 結果によりミドル層の傾向を把握することができ、今後の人事施策検討の参考となった
46. 従業員の声 ・職場や部署の違う同年代が集まる研修は刺激的で、今後の自分の仕事の進め方など参考 にしたいと思った ・第三者に自分自身の生活を話す機会がほとんど無いため、有意義な経験になった ・これまでのキャリアを見直す良い機会となった ・キャリアコンサルタントが社外の方ということもあり、普段は自ら口に出さないことも 話しやすかった ・このような機会が定期的にあるとありがたい ・将来的なキャリアビジョンを考えるには、50歳ではやや遅い
47. 今後取組む事項 企業内の定着に向けて ・継続的に 50 歳を対象としたキャリア研修およびキャリアコンサルティング面談を年2回 実施するこ とで定着を図る ・将来的にはキャリア研修の対象層を拡大したい 経営陣からの声 ・昨今の環境・事業変化に応じた変革を推進するためには、人員構成のボリュームゾーンであ り経験豊富な世代が今までの慣習にとらわれず率先して変革に取り組むことが重要課題である と認識。取り組みはまだ2年目だが、受講者からはポジティブな反応も多いため、継続した実 施により、取組を浸透させ自身の成長やモチベーションの向上、組織の活性化や強化につなげ ることで、変革のための大きな推進力となることを期待している
48. 今後の課題と展望 <課題> 1. ミドル層の力を引き出すため継続的に研修を実施し、受講者に対し研修後も定期的に メールを送るなどフォローすること 2. 50歳だけでなく幅広い年代の社員一人ひとりが、長期にわたりキャリアを主体的に設計 し、働き続けるこ とができる仕組みを作ること 3. 社員のキャリア自律を推進するために上司を巻き込むこと <展望> ・対象層を拡大し、40歳、50歳など節目の年齢でセルフ ・ キャ リアドックを実施すること を検討 ・今年度から 「キャリア月間」 と題してキャリアに関する講演やワークショップを実施 ・社員にキャリア自律を促す啓蒙活動 →自己申告とタイミン グを合わせることで社員が定期的にキャリアを考えることができ る仕組み。セルフ・キャリ アドックを連動させることで、社員一人ひとりが目の前の仕事 に全力で取組み、かつ自身のキャリアを正面から捉え責任をもって選択するキャリア自律 を推進したい
49. 今後の課題と展望(続き)
50. DIC 株式会社 DIC 株式会社 総務人事部 マネジャー 城戸 康男
51. 導入経緯 ・社会の大きな変化の中で、DIC がこれからも持続可能な発展をしていくために、ダイ バーシティ & インクルージョンを通して価値創造する企業に生まれ変わる必要がある。そ のために個を活かし、個の能力発揮を最大化させ、組織にイノベーションを起こして価値 創造が活発に展開されるようにする仕掛けを探す中で「セルフ・キャリアドック」の取組 を知り、導入を検討 導入目的 ・個人のキャリア開発と組織活性化を図り、業績向上につなげるため ・まずは総務人事部門中心に導入試行してみて、採用の可否を判断することにした
52. 当初の課題 ・若手を中心に早期退職者が増大 ・採用競争力が減退し、新卒や中途での採用が困難に ・メンタル疾患を抱える社員が増加 ・高年齢層社員が増加 ・企業活力低下 ・イノベーションの不発 ・ダイバーシティやインクルージョンの理解を深め、人材の多様性を活かし、皆が安心し て働けるようにするには、多様な人材の活躍推進や働きがいに着目した取組が未整備で、 企業活力が停滞しているのではないか という人材マネジメントの不安があった
53. 具体的な取組 ◆ガイダンスセミナーの実施 ・社員個々のキャリア自律を促し、社員の働きがいと価値創造 (会社業績に資する個ーのア ウトプット、成果) を目指す会社の方向性を伝えた ◆キャリアコンサルティング面談の実施 ・社員一人ひとりのライフステージに寄り添ったキャリアプランニングを行い、自 らの強 みを発掘・ 発揮できるようキャリアパスの形成に取組む「キャリア自律」と「個の発揮」を促すキャ リアコンサルティング面談を実施
54. ◆キャリアコンサルティング面談の実施 ・キャリア研修実施から1ヶ月後、研修受講者15名に社外キャリアコンサルタントによる キャリアコンサルティング面談を実施 ◆キャリアコンサルタントが面談を通じて把握した社員の以下の様子を人事担当者に フィードバック ・研修やカウンセリングを通してキャリアコンサルタントが考察した組織の課題について、 提出される報告書を参考に、配置転換や組織体制の変更、個人間葛藤トラブルの未然防止 などの施策を企画検討し、人材マ ネジメントの質向上を図った 具体的な取組(続 き)
55. 取組を進める上での苦労、工夫 ・キャリア開発やセルフ・キャリアドックについて、社内で目的・効果などについての認 知不足があったため、 以下の取組等により本施策の効果についての疑念の払拭を行い、取 組む意義について理解を得た →試行実施のための他社動向などの把握 →内部への試行実施提案・試行実施による組織課題の提案 →参加者の声を含む報告書
56. セルフ・キャリアドッグの効果 <ガイダンスセミナー > ・大変盛り上がり、受講者が熱心に聴講していた。キャリア開発に関する好印象と本格導 入への期 待が聞かれた <面談受講者アンケート結果 > ・面談結果満足度は12名中11名が満足 。面談結果が有益だったかは12名中11名が有益 <面談結果報告書> ・人事部門の組織課題についてのレポートが、キャリアコンサルティング面談結果を反映 し、示唆に富んだ内 容であった ・レポートでは総務人事の繁忙是正のための業務自動化、ワークフロ々の導入、社員のリ テンションのための面談機会、育成視点の取組強化、キャリア開発への取組による社員モ チベーション維持と活躍推進、組織内のコミュニケーション促進による働く職場環境改善 などの提案を受けている
57. 従業員の声 ・自身のキャリアを振り返り、今後につなげるための掘り下げが出来た ・初めてキャリアコンサルティング面談を受けたが、自分の気持ちや考えがどんどん整理 されていった ・相談したいと思っていたことに的確にアドバイスをいただき、前向きな気持ちになれた ・未来の自分を考える機会となった。今後へのヒントをもらえた ・色々話しながら気づくことがあった ・ 組織活性化につなげるために個の意識を高め、強みを発揮することで従来よりもより業 績向上に資することを期待できる 経営陣からの声 ・ダイバーシティを通じて価値創造し、企業価値を高め、世界から尊敬され愛される企業をつ くります。多様な人材を適材適所に配置して、発揮される能力を最大化するための環境を整備 する一環としてキャリア開発に取組みます。
58. 今後取組む事項 企業内の定着に向けて 1) 経営のコミットメント 個を生かし、個の能力の発揮と組織を活性化を促す基盤として、 セルフ・キャリアドック を導入し、イノベー ションにつなげることを周知する 2) 社内の環境整備 ①上司の理解促進 積極的に社員のキャリア開発を支援する ②従業員理解 変化の多い時代に打ち勝つキャリア自律の認識促進 ③社内体制の整備 推進事務局の設定 ( 総務人事部門 ) 社内規定等の整備 就業規則や通達の 整備 キャリアマップ・キャリアパスの策定
59. 今後取組む事項(続き) 3) キャリアコンサルタント確保 階層別キャリア研修、キャリアコンサルティング面談、 フォローアップを担うキャリアコンサルタントの 確保・育成が必要不可欠 ①社外キャリアコンサルタント活用によるキャリア開発支援体制の立ち上げ ②社内キャリアコンサルタント養成による支援体制の内製化 4) キャリア開発研修の実施 キャリア自律の意識啓発、セルフ・キャリアドックの理解、体 験 5) キャリアコンサルティング面談の実施 / キャリア相談窓口の設置 自己理解、周囲理解、 キャリアビジョン・行動計画策定、フォロー
60. 今後の課題と展望 ・今後も他社、行政、研修業界からの情報収集を図りつつ、具体的施策の検討を詰め、来 期予算の確保を行いたい。 ・事業所でのセルフ・キャリアドックの試行と結果の分析、仕組企画の見直し改善を図り、 価値ある仕組み・ 制度を作りこむ。 ・研修やキャリアコンサルティング、ジョブローテーションなどを通 して、社員のキャリ ア意識を高め、キャ リア開発支援を図ることで、 活躍推進とエンゲージメント、満足度を 高める。会社は社員個々の 能力・強み の発揮が促進されるよう要員配置、育成に努めるこ とで 組織が活性化し、強みを発揮した人材により業績 向上、社会的認知、 企業の規模拡 大に結び付けられる。 これが社員と会社が WinWin になる仕組みである と理解を得る。 ・令和 2 年度中にセルフ・キャリアドックの導入、公表、本実施へつなげたい。
61. 日清紡テキスタイル株式会社 日清紡テキスタイル株式会社 人事・総務課 課長 伊藤 満子
62. 導入経緯 ・目まぐるしい環境変化の中、自分のキャリアを主体的に 考えることで、個々の人生を充 実させるためには何が必要か、また、どのような組織貢献を自分はできるかを自 律的に考 え行動する人材が必要であるため試行的に導入 導入目的 ・1年目~4年目の総合職若手社員を対象に人生設計を含めたキャリア形成について考える 機会とした ・若手社員が成長課題を明確にし、自律的、スピーディーに成長することを期待
63. 具体的な取組 ◆キャリア研修の実施 ・入社1年目~4年目の集合研修を企画し、集合研修のメインプログラムとして、キャリア 研修とキャリアコンサルティング面談を実施 ・集合研修の内容:研修報告(プレゼン)、社長との直接ディスカッション企画、チーム ビルディング、メンタルヘルス等 ・今回は社長とのディスカッションを取り入れ、経営層と従業員との間における情報理 解・方針伝達のギャップを解決するためのアクションプランおよび風土改革の一環として 実施 当初の課題 ・若年層の離職率の高さ ・早期離職者の増加 ・若年層のモチベーションダウン傾向
64. ◆キャリアコンサルティング面談の実施 ・12名に実施 ・面談対象者の傾向としては入社数年の若手層ということもあり、自分でキャリアを考え るに至っていないという状況 ・自分の中でキャリアを考えることの優先順位がまだ低いと思われるが、一つ一つ手順を 追っていけばキャリアに対する自分の考えについての話が出てきた ◆キャリアコンサルタントが面談を通じて把握した社員の以下の様子を人事担当者に フィードバック ・面談対象者は広い視野を持っているが、キャリアに対する漠然とした不安を持っている ことがわかった ・従業員一人ひとりとしっかり向き合い、キャリア自律を会社が支援していくことが重要。 そのためには若手を育てる管理職の意識にも働きかけることが重要で、早急に部下の多様 性に対応できるマ ネジメント力や部下育成能力の向上のための支援を充実させる必要があると感じた 具体的な取組(続 き)
65. 取組を進める上での苦労、工夫 ・キャリア研修単独でなく、集合研修で行 うプログラムの1つとして立案したため、 事務局と重ねて打合せを行い、実施内容に ついて検討 ・集合研修の一部として組み込んだ理由は、 キャリアや人生を考えるにあたっては、通 常の仕事から離れ、仲間と触れあうリラッ クスした雰囲気と少しの緊張がある場づく りが必要と考えたため ・同年代から刺激を受けあうことでの相乗 効果を期待
66. セルフ・キャリアドッグの効果 ・対象となった若手社員は面談を通じて悩みや課題にしっかり向き合い、解決の糸口を見 つけることができたようだ ・現状行うべきことを明確にでき、今後やるべきことに挑戦したくなったという声もあっ た
67. 従業員の声 ・自分を振り返って整理することができて良かった ・仕事の中でモヤモ ヤしていたことが少し晴れ、やりたいこと・やるべきことを明確にわ かりやすくなった ・自分の性格や考え方を見つめなおす機会を得られた 経営陣からの声 ・研修は内製化できるものも多くあるが、キャリアコンサルティング面談においては、外部リ ソースの活用が効果的であり、また、若手社員への面談を通じて客観的な視点から当社の課題 を提示してもらうことができたため、実施して良かった
68. 今後取組む事項 企業内の定着に向けて ・若手社員集合研修(キャリア研修・キャリアコンサルティング面談を含む)を継続実施す る予定 今後の課題と展望 ・キャリアについて深く考え将来を描くことや、マインドセットする機会は定着まで時間がか かると思われる。継続的な実施が望ましいため、今後も続けていきたい
69. 株式会社 パスコ 株式会社 パスコ 人事部人材 開発課 課長 中山 猛
70. 導入経緯 ・若手社員や中途採用者の定着率の低下傾向、メンタル不調者の増加傾向、近い将来に起 こる働きざかり世代の減少などが経営上の課題として特にクロ々ズアップされてきている ・会社依存型キャリアの社員の姿が若手社員の将来なりたい姿に希望を持てない状況を生 み出している点もあるのではと考える 導入目的 ・社員個々のキャリア自立と自律を促すことを目的に、キャリアパスガイドラインを公開 しましたが、社員はその意図を十分理解できていない状況があった。そこで、「キャリア を考える」ことが、社員一人ひとりのキャリア形成支援や働きやすい職場へつながること を理解してもらうことを目的に、階層別研修を通じてキャリアについて考える機会を提供 することから取組を始めた
71. 具体的な取組 ◆キャリアを考えること ・新入社員向けにはキャリア教育、中途採用者向けにはキャリア形 成を通じた入社目的と 実現したい事の再認識と意識促進、中堅やベテラン社員向けには、キャリアを考える必要 性を再認識させる 内容、管理職向けには、部下育成をキャリアを通じて考える研修 などを 企画し実施 当初の課題 ・若手社員が自分の将来を上司や先輩に見いだせなくなっていた ・中途採用においては、職場や組織内でのキャリア開発支援の重要性が認識できておらず、 仕事だけの関係となりがちであり、その結果とし て定着率が悪化している状況も生み出し ていると思われた
72. ◆キャリアコンサルティング面談の実施 ・中堅やベテラン向け社員及び管理職向けの研修後に、面談希望者を募り、社外キャリア コンサルタントによるキャリアコンサルティ ング面談を実施(約1割が希望) ◆実施結果報告 ・組織のキーマンとなる管理職向け研修結果(社外キャリアコンサ ルタントから見た組織 の問題点など)を経営陣へ報告を実施し、 現状の問題点についての共有をはかった 具体的な取組(続 き)
73. 取組を進める上での苦労、工夫 ・キャリアは会社が提示するものという社員の意識があり、自律・自立したキャリア形成 の重要性を肌で感じているものの相談できる人がいないという現状があった ・特に相談がしづらいであろう中堅ベテラン向け社員研修でキャリアデザインをテーマに 研修を実施した後にセルフ・キャリアドックの試行実施を行い、キャリアコンサルティン グ面談という安心した相談の場を設けることから取組んだ セルフ・キャリアドッグの効果 ・社内の会話の中で、キャリアという言葉が日常的に語られる場面が増えてきたことから、 「キャリアとは何か、 また、キャリアを考えることは個人だけではなく組織運営をする上 でも大切である」との理解向上が進み始めたと感じる
74. 従業員の声 ・自分で気づかなかったことに気づけた ・親身に話を 聞いてもらい、自分が話したことを理解してもらえたことに満足 ・自身の考え方の整理と今後についての 整理や方向性が見えた ・会社にとっても有益な情報を得られる良い取組 ・定期的な面談で振り返りをしたい 経営陣からの声 ・雇用環境や事業環境が激変する中、会社と同様にそこで働く社員にも変化へ対応することが 益々重要となっている。専門性の深化とともに、社会の変化を機会として捉えて、複線型キャ リア形成を自らの意思を持って進めることができる社員の育成へつながることを期待
75. 今後取組む事項 企業内の定着に向けて ・研修後のキャリアコンサルティング面談は希望者のみから開始したが、今後はその範囲の 拡大を可能な範囲で進めていくことで、上司以外に安心感をもって相談できる相談窓口の開 設やその浸透をはかっていきたい 今後の課題と展望 ・相談窓口体制の強化、研修を通じたキャリアコンサルティング面談の実施により、その効果 などの理 解促進を更に押し進めていきたい ・職場において、社員自らがキャリアを考えるとともに、上司の重要な役割として、部下の キャリア形成支援を行う職場風土となることを期待
76. ブラザー販売株式会社 ブラザー販売株式会社 人事総務部人事グループ チームリーダー 渡部 しのぶ
77. 導入経緯 ・平成29年、部門横断プロジェクトである「人財活性化プロジェクト」が立ち上がり、そ の答申の一つとして上司との「キャリア面談」の見直しが挙げられた。キャリア面談の導 入は平成22年だったが、面談をする上司も含めて社員ごとのキャリア自律度の違いにもば らつきがあり、効果的な面談が行えていない現状があった。キャリア面談のブラッシュ アップと並行して、キャリア面談の仕組みを補完する位置づけで、「利害関係がなく、よ り客観的なアドバイスが期待できるキャリアのプロへも相談できる環境を用意しよう」と なり、導入試行実施に至った 導入目的 ・社外のキャリアコンサルタントとのキャリアコンサルティング面談が従業員にどのよう に受け止められるかを確認すること ・刷新したキャリア面談シートのトライアル使用
78. 当初の課題 ・年に1度実施することになっている上司とのキャリア面談が形骸化しつつあり、活用の見 直しに迫られていた。 ・若年層からは業務を通じた成長実感が得られにくい、やりがいが感じられない、キャリ アプランが描 けないという声が目立って出ており、入社 5 ~ 10 年目社員の離職も過去に 比べて増加傾向にあった
79. 具体的な取組 ・東京事業所にて各部門から若手・中堅層を中心に、様々な世代の社員を参加者として 募って実施 ◆ガイダンスセミナーの実施 ① 事前ガイダンス(対象:全参加者21名(一般社員13名、上司8名) 参加者全員に対し、 人事からの主旨説明とキャリアについて 考えるとは何か、キャリアカウンセリングでどの ようなことを行うのか、ワークを交えて講師から説明 ②上司向け事前ガイダンス(対象:参加者のうち上司 8 名) 事前ガイダンスに引き続き、 上司としてどのようにキャリア支援を行っていくべきかということを講師から説明 ◆キャリアコンサルティング面談の実施 ・対象者:参加者から19名(一般社員12名、上司7名) 実際に一人ずつキャリアコンサル ティング面談を体験
80. 取組を進める上での苦労、工夫 ・発案から実施までの期間が短い中、実施事業所での理解を得つつ、参加者の面談スケ ジュールを組むまでが 一番大変だった ・東京事業所の皆さんには、この新しい取組の意義をお伝えし、関係部門長や管掌役員を 巻き込んで、前向きに協力をいただけるよう依頼 セルフ・キャリアドッグの効果 ・東京での導入試行実施の結果、キャリアコンサルティング面談の参加者全員が満足した という結果が出た ・上司向けガイダンスでも日頃の部下指導に係る疑問などを講師と話すことがすことがで きて良かったという声が多数聞かれた ・翌年度から実際に社外キャリアコンサルタントの来社日を定期的に設けることで、キャ リアコンサルティング面談を社内に居ながらにして受けることができる制度をスタートさ せることにつながった
81. 従業員の声 ・キャリアコンサルティングというと、どうしても将来のことをすぐに想像しがちだが、 そんなことはなく、 現在の状況を話してもらうだけでもいいということを知り、少し安心 できた ・社外の人の視点で語ってくれるので、偏りのないものとしてアドバイスを受け止めるこ とができ良かった 経営陣からの声 ・日頃から接している上司、先輩等ではなく外部専門家と直接コミュニケ々ションをとる貴重 な機会となった ・短期間で実際の効果検証することは難しいかもしれないが、継続することで職場風土(社員 がイキイキとしている)づくりに資するものと期待
82. 今後取組む事項 企業内の定着に向けて ・令和元年7月から社外キャリアコンサルタントと契約し、月に2回来社を依頼 ・定着に向けて、 「若手限定キャリアカウンセリングキャンペーン」の実施や、異動者・ 休業復帰者への個別メールアプローチ、 既存のキャリア研修と組み合わせた利用など様々 な方法で利用を促している ・実際に利用した人が口コミで他の人に利用を勧めてくれるという流れも生まれており、今 後はこの効果ももっ と活用していきたい
83. 今後の課題と展望 ・把握しきれていなかった様々な課題が明らかになった一方、点として存在していた支援がつ ながり、線となり面となってよりよい支援につなげられる可能性も見えた。これらの課題や支 援の在り方を整理して、従業員が当社を通じてより良いキャリ アを描いていけるように、ま た会社としてダイバーシティ&インクルージョン実現のために、セルフ・ キャリアドックを活 用していきたい
84. 社会福祉法人 和修会 社会福祉法人 和修会 社会福祉法人 和修会 法人本部理事長代理 兼 事業本部長 土井 隆司
85. 導入経緯 ・研修、勉強会、セミナーや個別面談等を実施しながら 業務運営をめているが、日々の職務の忙しさから個人の 迷いや考えの整理ができず、個人目標も明確ではない、 そして法人としてもキャリアアップのために個人目標を 評価する基準があいまいになっていた 導入目的 ・職員が目標を持ち、やりがいを持って楽しみながら仕事に取組み、プライベートも充実 させること ・法人と しては、数年で施設数・職員数が大幅に増えたため、組織や制度を見直すタイミ ングであったこともあり、 働きやすく継続できる職場環境整備やスキル・キャリアアップ 充実の支援を行いモチベーションの向上を図 ることのできる仕組みを検討することを目的 とした
86. 当初の課題 ・法人本部では、今後の展開も含め、各施設各職員が法人の理念や保育方針を理解してい るのか、また法人の 考えを踏まえた施設ごとの人材育成やモチベーションの向上が図れて いるのかが明確ではなかった ・個々人のキャリア形成を支援していく上で、法人としてどのようなことを行うのがベス トなのかを明 確にする時期と考えていた
87. 具体的な取組 ◆ガイダンスセミナーの実施 ・対象者 20 名の職員にガ イダンスセミナーを実施 ・冒頭に理事長から今回の 実施に際して「この取組は一人ひとりのより良い人生、そし て 幸せにつながることになります」とのメッセージを発信す ることで法人の思いを共有し、 全員が同じ方向を向いて今回の実施に取り組むことを確認 ※対象者の選定はまず、各園で核となる施設長・主任・リーダー保育士と職種の異なる栄 養士・事務・広報・本部職員とした ◆キャリアコンサルティング面談の実施 ・1人50分程度、キャリアコンサルタントと面談者が1対1で面談を行った ・他の職員からは全く見えない環境を作り、じっくりと話ができるようにした ・キャリアコンサルタントの方々には守秘義務があるので安心して仕事もプライベートに ついても話すことができた
88. 具体的な取組(続 き) ◆キャリアコンサルティング面談の実施 ・面談の総合的な満足度は大満足・満足で95% ・キャリアコンサタントの対応も良いが100% ・面談対象者自身の有益度も有益が85% ・今後も機会があれば面談を受けたいかについても Yes が 85% ・面談の傾向としては、理事長の保育理念が若年層の保育士まで浸透していること、各職 員が保育に誇りを持ち真面目に熱心に子ども達を最優先に考えて保育を行っており、働き やすい職場環境であることが分かった ・その反面、職員間のコミュニケーションの時間がとれておらずお互いの保育士観が共有 できていないこと、次世代管理職や保育士の段階的な人材育成や昇格昇給要件が分かりに くいということが明らかになった
89. 取組を進める上での苦労、工夫 ・特にガイダンスセミナーについては、複数園の職員全員が同日時に会場に集結した。 ・各園限られた人数で安全を確保した保育を行っていることから、大幅なシフト調整を行 い念入りにかつ徹底した引継ぎを行うことで万全な保育体制を整えた セルフ・キャリアドッグの効果 ・今回は各園の主要職員が面談を受け、個々の気づきや考えの整理ができたことで自身の 目標が明確になり、 スキルアップを行いながらキャリア形成を考えることができるように なったとの報告が多くあった ・各園でも保育に向き合う姿勢や研修・勉強会への参加率が上がった ・法人としましても法人理念や方針の理解度が高く、職員一人ひとりが振り返りや考えの 整理ができ目標が明確になったことにより、仕事への取り組み姿勢・モチベーションアッ プが見て取れた
90. 従業員の声 ・「自分の考えや思い、悩みなど、仕事もプライベートも含め話をしっかり聴いていただ き、自身の振り返りや 見つめ直しができたことから、迷っていたことの整理ができ気づき につながった ・今後の目標や方向性・ 考え方など自身の人生について有意義な時間となった 経営陣からの声 ・法人に対する職員の意識が変わったように感じられた ・一人ひとりが今現在の思いやこれからのことな ど、面談を通じて見つめ直すきっかけとな り、何事においても前向きに取組むようにった ・言葉に出すことや伝えること、また聞いてもらえることの大切さを再確認し、今後、全職員 に面談の機会を設けていく必要があることを確信した
91. 今後取組む事項 企業内の定着に向けて ・今回実施した職員アンケートの集計結果や面談傾向からセルフ・キャリアドックの効果を 図ることができたため、時間はかかりますが全職員への実施を計画している
92. 今後の課題と展望 ・今後は全職員へセルフ・キャリアドックを実施し、一人ひとりが自身の振り返り、課題の 気づき、自身の今 後の目標の明確化を行い、中長期的な計画を持ち仕事もプライベートも充 実した人生を送っていけるよう法人としてサポートをおこなう ・法人として課題をクリアするため、階層別人材の明確化と評価制 度の見直しを行い、職員 一人ひとりが自身の評価を受け止め、更にキャリアアップできる仕組みと制度を構築し、こ の仕組みを繰り返すことにより法人全体の質の向上を図ることができるように、セルフ・ キャリアドックを継続させ、継続的改善を進めていきたい