弊社は産業・労働分野における公認心理師の健全な育成に寄与すべく、「産業・労働専門心理師」の認定制度を開始しました。

本制度は、欧米諸国の産業・組織心理学者(industrial and organizational psychologist / occupational psychologist)養成課程を参考に、産業・労働分野で働くために十分な資質を備えた公認心理師を認定する目的で設立されたものです。

注:公認心理師法第四十四条に基づき、仮に公認心理師でない者が本認定を受けたとしても、「産業・労働専門心理師」と名乗ることはできません。

産業・組織心理学とは、産業や組織に関する心理学の実践と研究のための学問であり、その領域は多岐に渡ります。欧米で広く活用されている教科書 “Industrial and Organizational Psychology: Research and Practice Seventh Edition: Research and Practice” の目次を次にあげます。

  1. イントロダクション
  2. 産業・組織心理学の研究法
  3. 職務分析
  4. パフォーマンス評価
  5. 採用と配置の評価
  6. 採用
  7. 研修
  8. モチベーション
  9. 職場での態度と感情
  10. 生産的・非生産的な行動
  11. 産業保健心理学
  12. 集団とチーム
  13. リーダーシップと威厳
  14. 組織開発

このように、企業の安全衛生活動と人的資源管理、組織開発に関わる心理学全般についての研究と実践の専門家が産業・組織心理学者です。

我が国においては、2017年9月16日に「公認心理師法」が施行され、心理支援を専門とした国家資格が生まれました。公認心理師は、保健・医療、教育、福祉、産業・労働、司法・矯正の5つを活動領域とする、汎用資格であり、領域ごとにより上位の専門資格の必要性が唱えられています。

一方、公認心理師法の施行より前、2015年に、職業能力開発促進法が改正され、キャリアコンサルタントが国家資格化されました。キャリアコンサルタントは、「労働者の職業の選択、キャリアプラン、職業能力の開発及び向上に関するサポート」を専門としています。

公認心理師とキャリアコンサルタントはいずれも厚生労働省管轄の国家資格ですが、それぞれの趣は大きく異なっています。公認心理師は、生物心理社会学モデルに基づき、旧厚生省系の医療職の一つとしての特徴を強く有しており、一方、キャリアコンサルタントは、旧労働省系の労働領域の専門資格といえます。

このように、我が国の産業・組織心理学の専門家は、公認心理師とキャリアコンサルタントに分断されてしまっています。これは、先述のような、欧米のグローバルスタンダードとは異なる状態です。

さらに、欧米では、心理学の専門家は、博士号を有しています。その理由は、心理学が、人の心理について探求するスピリチュアルな哲学ではなく、神経活動から、様々な状況における心理活動と行動、心と身体の相関までを含めた、複雑な人間を理解するための高度な学問であるという認識に基づいています。

そこで弊社では、このようなグローバルスタンダードな考えに基づき、我が国においても欧米諸国の産業・組織心理学者と同等の知識と技能を持った専門家を認定すべく、「産業・労働専門心理師」の認定を行うこととしました。

この制度が、産業・労働分野で働くための高い資質を持った公認心理師を社会に示し、我が国における産業・組織心理学実践および関連研究の質の向上につながることを期待しています。

申請手続きについては、こちらの記事をご覧ください。